Room 774

だいたいラブライブの話をしています

10人目

ライブの感想ではないです。ごめんなさい。

 

 * * *

 

正直に言うと、僕は、『10人目のメンバー』というフレーズが使われる度に、ちょっと複雑な気持ちになっていた。

これはAqours以前、μ'sの頃からずっと思っていたことなんだけど、僕は10人目だなんて呼んでもらえるほど大したことはしていないし、できないし、それよりもスタッフさんや畑さんのほうが10人目のメンバーと呼ばれるにふさわしいだろうに、それを差し置いて“10人目”と呼ばれるのはなんとなくムズムズするというか、分不相応な居心地の悪さを感じていたのだ。

だから僕はμ'sのライブで「10!」と叫んだことはなかったし、Aqoursのライブでも、「これは求められてるな」と思ったところ*1以外で、10を叫ぶことはなかった。

3rdツアーでも、WATER BLUE NEW WORLDに入る前のアニメで会場に響く「10!」の声を聞きながら、「こいつらすごいな」なんて、ちょっと遠巻きな気持ちでいたくらいだ。

僕が見たいのはあくまでμ's・Aqoursの9人の姿であって、そこに「10!」と叫んで参加する自分の姿は、やっぱりちょっと違う気がするなぁと思っていたのだ。

 

さて。

昨日まで開催されていたAqours 3rdライブツアーでは、Aqoursの4thライブが東京ドームで行われることや、そのライブのテーマソングCDが発売されることなど、他にも様々な情報が発表された。

そしてつい昨日、そのテーマソングの試聴動画が公開されたわけだけど、そのc/w曲のタイトルを見て驚いた。

『No.10』。

間違いなく、そういう曲だ。

聴いてみるとやっぱりそうで、10人目のメンバーである観客、ラブライバーへの感謝が綴られた曲になっていた。

そう思ってもらえていること、それを曲で表してくれることにはもちろん嬉しさもあるんだけど、上にも書いたように、やっぱりちょっと複雑だった。

でも、そんな感情がぐるぐるしているうちに、ぼんやりと、福岡での杏ちゃんのMCが頭に浮かんできた。

「みんな輝いてた」という話と、「私なんかがリーダーで」という話だ。

今までAqoursの活動を追ってきた人の中に、杏ちゃんがリーダーを務めることに異論のある人は、他の推しを含めてもいないと思う。そしてそれは僕も同じで。

今回のツアーだけ見てもそうだ。難易度の高い振り付けを見事に決めてくれ、でもそこに至るまでの苦労はステージ上ではほとんど表に出さず、驕らず、むしろ他のメンバーを褒め称えて、誰が見ても立派なリーダーだと思う。

そんな彼女ですら「私なんかが」という感情を抱えていて、でもそのくせ、僕たちファンのことは「みんな輝いてた」と言ってくれるのだ。

ただただパフォーマンスに熱狂して棒を振り回してるだけの僕たちの声が、力になると言ってくれるのだ。

こんな良いリーダーいないと思うし、リーダーでいてくれて本当に良かったと思うんだけど、だからそれを伝えきれないもどかしさや悔しさもあって。

「みんな輝いてた」と言ってくれるけど、あなたが輝いてたんだよって。

どうすれば伝わるのかななんて考えながら、ひょっとしてこれって、例えばファンが杏ちゃんに「10人目のメンバーだなんて名乗れるほど立派な人間じゃない」ということを伝えると、同じような反応が返ってくるのかな、なんて思ってしまった。

2nd埼玉でも言ってたけど、僕らが「ありがとう」を伝えると「こっちこそありがとうなのに」って返してくれるのが彼女たちで、ファンとアーティストって、ある意味鏡合わせみたいなところもあるのかなって。

だとするなら信頼できる彼女たちの言葉を信じて、 “10人目のメンバー” という肩書を受け入れてしまうことが、いっそ恩返しになるのかもしれない。

 

たぶん僕はこれから先もWATER BLUE NEW WORLD前のアニメに合わせて「10!」と叫ぶことはないと思う。

でも、もう少し積極的に “10人目のメンバー” になろうとしてみるのも良いのかも、なんて思った。

 

*1:MIRAI TICKET」と、何度めか以降の「太陽をおいかけろ!」